たいちの徒然日記たいちの徒然日記

元新聞記者むくぎ太一が
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2020年06月06日(土)

サンフレッチェ広島 新スタジアム建設基本計画 広島市議会議員・むくぎ太一(椋木太一)

こんにちは、広島市議会議員(安佐南区、自由民主党)・むくぎ太一(椋木太一)です。

 広島市は、広島県や広島商工会議所、サンフレッチェ広島とともに、広島市中区基町の中央公園広場にサッカースタジアム(「中央公園サッカースタジアム(仮称)」を建設する計画を進めています。このスタジアムはサンフレッチェ広島の新たな本拠地となるもので、広島の新たな象徴、広島市や広島県全体の活性化につながる施設として位置付けられています。
この計画は、2013年(平成25年)6月に「サッカースタジアム検討協議会」が設置されたことで動き出しました。建設候補地の選定などを巡る紆余曲折を経て、2020年(令和2年)3月、「サッカースタジアム建設推進会議」で「基本計画」が策定され、新たな局面に入ったのです。

 広島市は建設予定地であるとともに事業主体です。つまり、広島市の皆様の税金が投入されるということです。広島市の皆様が、家(サッカースタジアム)の「建築主」になると想像していただくと、広島市の皆様が担う役割の重要性がお分かりいただけると思います。広島市の皆様はサッカースタジアムの「オーナー」の一員ですから、サッカースタジアムの建設計画がどのようなものなのか知っていただくことは大変重要ですし、計画を推進する立場の行政や市議会(「設計者」「施工主」)は、「建築主」の皆様に丁寧に説明する責任があります。ところが、こうした計画は事細かに報道されたり、行政・市議会から説明されたりするわけではありません。人口の流出・入に伴い、建設計画そのものを知らないまま、税金を払っている方々も相当数いらっしゃると思います。そうした状態は、税負担の面から好ましいことではありません。

 前置きが長くなりましたが、以上のような理由から、広島市議会議員としての責務・役割として、改めて中央公園サッカースタジアム(仮称)の建設計画をご説明したいと思います。

 まず、改めて、なぜサッカースタジアムの建設計画が持ち上がったのかご説明します。サンフレッチェ広島は、広域公園陸上競技場(広島市安佐南区)を使っています。Jリーグには、リーグに参加するために必要な「クラブライセンス制度」があります。スタジアムの設置基準やクラブの財務状況などを満たした場合、このライセンスが発行されます。制度上、スタジアムの屋根は観客席の3分1以上を覆っていることが必要とされますが、満たしていません。また、洋式トイレの数も足りていません。このほか、アジアサッカー連盟(AFC)のスタジアム規則の照明の明るさ(照度)や、「全席背もたれ付き」という基準も満たしていません。また、陸上競技場ゆえの観客席とグラウンドとの距離感など、観戦環境の改善点が多いこともあり、新スタジアム建設への期待が高まったということです。

 基本計画に話を戻し、まず予算規模をご説明します。おそらく、広島市の皆様の最大級の関心事だと思います。広島市は最大総額270億円と想定しています。内訳は、スタジアム本体の建設に223億円、関連整備として中央公園再整備20億円、ペデストリアンデッキ整備19億円(広島県立総合体育館・ファミリープール側とスタジアム側を結ぶ歩道橋)、建設予定地である中央公園広場の埋蔵文化財発掘調査などに8億円となっています。広島市は当初、総額190億円(消費税抜き)と試算していました。建設費の増加などにより80億円も増えていることから、基本計画で示された「最大270億円」という数字をしっかり頭に入れ、今後の計画推進に注視していただきたいと思います。
次に、建設地やスタジアムの概要などについてご説明します。議論の当初は、旧広島市民球場跡地(広島市中区)、広島みなと公園(同市南区)が候補地でした。その後、中央公園広場も加わり、2019年(平成31年)2月に広島市や広島県などが中央公園広場で合意しました。スタジアム本体だけで200億円規模の大事業ですから、それ相応の費用対効果が求められます。3か所の候補地から中央公園広場が選ばれたのは、広島市の中心部で集客が見込まれることや、サッカースタジアムを軸に周辺の再整備を進めることで市街地の活性化をもたらすことを狙ったものと言えます。

 つまり、サッカースタジアム建設は、広島市中心部の再開発の引き金になるわけです。建設地である中央公園広場の東側にある広島城三の丸や、南側にある旧広島市民球場跡地を含めた再整備を包括的に行うことで、「にぎわい」を創出していくわけです。そうしたことから、関連整備として「中央公園再整備」(20億円)、「ペデストリアンデッキ整備」(19億円)が含まれているわけです。

 さて、スタジアムは、中央公園広場の西端に、ゴールが南北に位置するよう配置されます。観客席は3万人規模です。サッカーだけではなく様々なスポーツに利用できるようにするとともに、カフェや温浴施設、店舗などの機能を持たせます。また、スタジアムの東側は「広場エリア」と位置付け、カフェや子どもの遊び場、フェスやパブリックビューイング、ビアガーデンといったイベントが開催できる機能を持たせます。

 これらの事業は、2020年度(令和2年度)に設計・施工の発注準備、事業者選定、2024年(令和6年)の開業予定となっています。
以上が基本計画の重要項目となりますが、一方で、完成までには解決すべき様々な課題や懸案があります。まず、資金面です。予算規模は最大270億円と想定されています。この数字は、新型コロナウイルスの影響が出る前のものです。資材や人件費がこれまでより上昇することが予想されます。費用が増えたからといって、そのまま事業費に上積みすればいいというものではありません。広島市の皆様からいただく税金は無尽蔵なものではないからです。基本計画で最大270億円としているわけですから、その範囲内に収めるため、多面的に計画を修正していく必要があります。

 さらに悩ましいのが、計画が想定通りに進むのか見通せないことです。新型コロナウイルスの影響で企業活動は制限を受けています。2024年(令和6年)開業予定ですが、後ろ倒しも想定しておくことも必要になってくると思います。また、スタジアム建設により、広域公園陸上競技場の稼働率が低下します。スタジアムが完成したら同陸上競技場を壊すわけではありません。今一度、腰を据えて同陸上競技場の活性化策を議論していかなくてはなりません。

 繰り返しますが、中央公園サッカースタジアム(仮称)は広島市の皆様の税金が投入されます。スタジアムの「オーナー」になるという気持ちで、今後の進捗にご注目ください。皆様がご検討いただけるよう、できる限り、情報や問題点などを提供していきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

新スタジアムの想定事業費

新スタジアムの建設予定地など

これまでの経緯