【H3打ち上げ中止会見の炎上に感じること 時代は「情報戦」、情報力の重要性】広島市議会議員・むくぎ太一(椋木太一)
【H3打ち上げ中止会見の炎上に感じること 時代は「情報戦」、情報力の重要性】
日本の新型主力ロケット「H3」1号機が打ち上げ中止となった2月17日の記者会見で、共同通信の記者が宇宙航空研究開発機構(JAXA=ジャクサ)側に、「失敗ではないのか」と執拗に食い下がり、質問終了間際には、「それを一般的に失敗と言うです」と”捨て台詞”を吐いたことが波紋を広げています。
この記者会見は動画で生配信されており、JAXA側が「中止」との判断を示しているのに対し、共同記者は「失敗ではないか」と繰り返し聞いています。打ち上げ中止の原因や宇宙戦略への影響、今後の予定等、我々が知りたい本質的な質問とはかけ離れたもので、いちゃもんをつけているようにしか見えません。
結局、この記者はJAXA側から「失敗」というコメントを引き出すことはできず、原稿では直接、「失敗した」という表現でごまかしています。この記事は、コラムや解説ものではありませんので、原稿に主観を交えることは避けなければならないものです。
新型主力ロケットの打ち上げ中止は一面トップ級のニュースとなります。この非生産的なやり取りの裏には、「失敗」という語感から、日本の宇宙戦略の後退を印象着けようとしたのではないかと感じています。案の定、共同の配信を受けた地方紙の一面見出しは、「打ち上げ失敗」となっています。
昨今、情報伝達手段が多様化し、伝達速度も格段に上がっています。国家間の戦いは、地上戦とともに情報戦の重要性が高まっています。昨年12月に改正された「国家安全保障戦略」で、情報戦について、かなり紙幅が割かれていることがそうしたことを裏付けています。
メディアリテラシー、インテリジェンス。つまり、情報力を国を挙げて高めていく必要性があるのです。
読売新聞一面(左)と中国新聞一面