たいちの徒然日記たいちの徒然日記

元新聞記者むくぎ太一が
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2024年02月20日(火)

【広島市議会 総括質問③「公立幼稚園のあり方」質問全文&答弁】広島市議会議員・むくぎ太一(椋木太一)

「公立幼稚園のあり方」

ある広島市立幼稚園の将来を巡り、該当する幼稚園の職員や関係者、その幼稚園に通わせている保護者の皆様、そして、その幼稚園が存在する地域の皆様が心を痛めていらっしゃいます。

きっかけは、2年前の2022年4月に、広島市教育委員会がその幼稚園を含む市立幼稚園2園を閉園・統合する方針を固めたと、地元紙が報じたことです。文中で、「2024年度以降の募集停止を見込む」とまで書かれ、さらに、今後の流れを示す図の中では、その幼稚園が「閉園へ」と示されています。その幼稚園の関係者に相当の衝撃を与えたことは、容易に想像できます。

これは、幼児教育、保育の一体的な質の向上を図り、長期にわたって持続可能な提供体制を構築するため、広島市が2020年3月に策定した「広島市幼児教育・保育ビジョン」で示された、園児数の減少が続いている幼稚園をどうしていくかという基本的な考え方を、その時点での園児数で当てはめた、いわば、”先走り”的な形で報じたものだと思います。その結果、冒頭、申しましたように、その幼稚園に関係する多くの皆様に心配をかけ、地域に混乱を与えています。また、広島市の子育てに対するスタンスまで誤解を招きかねない状況を生み出しています。

実際、「閉園する」「園児募集はなくなる」という話はあっという間に広がっています。
風説を流されたと言ってもおかしくない状況で、逆風にめげず、この幼稚園は地域とともに丁寧できめ細やかな教育を続け、2024年度の園児募集を行っています。閉園もしていません。

「広島市幼児教育・保育ビジョン」では、少子化で多くの幼稚園の園児数が減少している中、教育的観点から、今後のあり方について細かに示されています。若い世代の賃金が数十年間、低く抑えられ、共働きを余儀なくされる世帯が増え、いわば必然的に、保育園の需要が高止まりしているという社会情勢があります。これは、幼稚園から保育園への需要のシフトが生じているということにほかならず、幼稚園が新しい形へ生まれ変わることを、社会が求めているということだと、私も認識しています。

幼稚園と保育園はそれぞれ、文科省とこども家庭庁が所管しています。未就学児の受け入れ施設がふたつに分かれているのは、歴史的は背景うんぬんによるところが大きいように思います。最近まで子供が幼稚園におりましたので常々感じておりましたが、川内保育園出身の私から見ますと、特に近年、幼稚園と保育園が全く別物だと言い切れるほどの差異があるようには思えません。正直なところ、省益、既得権益を手渡したくないという、大人の都合なのではないかと勘繰ってしまいます。そんなことは、子どもたちにとって、どうでもいいことなのです。

そうした中、徐々に、幼保一体となった認定こども園が増えてきています。
広島市は2021年3月に「広島市幼児教育・保育ビジョン」に基づく実施方針を作成し、子供の多い安佐南区が2園、その他の各区に1園、認定こども園を設置することを打ち出しています。この認定こども園は各区の拠点園として、広島市がこれまで公立幼稚園で培ってきた幼児教育のノウハウや知見を公立、私立問わず提供し、広島市の幼児教育の質の向上のリーダー的存在となったり、小学校とともに地域の様々な拠点機能を持ったりすることが求められているものです。

私は、この、公立認定こども園の設置について、広島市の子育てに対する前向きな姿勢の表れだと評価しています。来年度当初予算案にも設置に向けた費用が計上されており、大きな一歩を踏み出そうといしていると実感しているところです。

今後、劇的に社会構造が変化し、従来の幼稚園のニーズが高まり、保育園から幼稚園の逆シフトが起こるとは想定し難いものがあります。つまり、幼保一体の認定こども園は、これからも社会から要請が続くと思いますし、この形が新たな定番となっていくと考えています。

Qそこでお尋ねいたします。
広島市幼児教育・保育ビジョンの実施方針では、公立の認定こども園は安佐南区2園、その他の各区1園設置するということです。まだ最初の認定こども園ができていない状態で申し上げるのは幾分恐縮ではございますが、園児数が減少していく市立幼稚園について、認定こども園に切り替えていくべきだと考えますが、広島市としてどうお考えかお教えください。

<答弁>
本市では、「広島市幼児教育・保育ビジョン」及びその「実施方針」において、公立・私立、幼稚園・保育園等を問わず、幼児教育・保育の一体的な質の向上を図るとともに、持続可能な提供体制を構築していくこととしています。

こうした考え方の下、地域の幼児教育・保育の拠点として公立の認定こども園を各区に設置し、本市全体の幼児教育・保育の充実を図っていくこととしており、まずは、原則各区1園、安佐南区2園の計9園の拠点園の設置に向け、現在、安佐北区と佐伯区において公立認定こども園の整備を進めているところです。

一方で、議員御指摘の園児数が減少している市立幼稚園については、少人数化による教育面の課題解消を図る観点も考慮し、統廃合を検討することとしています。その際には、園児数の推移や施設の状況のほか、地域ごとの需給状況等を考慮しつつ、関係団体や園が所在する地域とも協議を行いながら、議員から御提案があったことの実現可能性も含め、地域の実状を踏まえた対応を検討していきたいと考えています。