【広島市議会 総括質問④「学校給食」質問全文&答弁】広島市議会議員・むくぎ太一(椋木太一)
「学校給食」
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の取り扱いが5類となって、9か月あまりが経ちました。いわゆるコロナ禍を経て、これまで以上に健康に配慮するようになるとともに、食事や食料といった、「食」への関心が高まっていることを感じています。
昔から「医食同源」と言われるように、健康を保つため、生産方法や生産者、産地などにこだわった質の高い「食」の重要性が認識されてきた証しだといえます。
また、子育て中の親御さんたちの、お子さんの食べ物に対する関心も高く、コロナ禍では学校給食の問い合わせや要望などを多くいただいておりました。
そのような状況において、広島市は2021年9月に、「学校給食の充実に向けた給食提供体制の見直し方針」を示し、将来に向けて、「給食センター方式」を基本とする給食提供体制の構築を目指すとともに、当面の取組として、残食率の高さなどが課題とされている「選択制デリバリー方式」を早期に廃止することを打ち出しました。
手順として、まず、既存の給食センターの受配校の拡大や、デリバリー給食の調理業者による保温性のある食缶での給食提供の取組みを、昨年度から順次進めています。また、今年度からは、自校調理校から近隣のデリバリー方式校への配食もしています。
そして、安佐市民病院南館跡地に「学校給食センター」を建て替えます。給食センターは昨年12月から設計が始まっており、2026年1月の稼働を目指しています。1日最大12000食が配食可能となり、安佐南区の一部と安佐北区の学校に供給され、これにより全ての中学校で「選択制のデリバリー方式」の解消が完了します。
ところで、近年、物量的な豊かさに加え、生活の質の向上も求められています。「働き方改革」という考え方がそうしたことを象徴していると思います。同じことが食事でも言えるわけで、給食センターの稼働後は、物量、言い換えれば配食数ですが、その多さとともに、品質、食材の質の向上も求められるでしょう。例えば、地産・地消であったり、有機栽培であったりと、安全・安心な給食を提供することが重要視されるようになってくると考えられます。
また、国は昨年、「みどりの食糧システム戦略」を打ち出し、環境負荷を抑え、持続可能な農業への転換に乗り出しました。今後、地方自治体も同様にシフトしていくことが考えられます。こうした時代の要請に応えるには、学校給食に地産・地消や有機栽培に重きを置いたメニューをこれまで以上に提供することが考えられます。私の出身地・安佐南区川内は広島菜の名産地ですが、川内小学校に通っていた40年ほど前、農家に栽培にまつわる話を聞いて広島菜についてまとめ、さらに、給食で食べていたという記憶があります。これはまさに、「食育」や「地産・地消」の先駆けといえます。当時はまだそのような言葉や概念すらなかったと思いますが、子どもの頃の「味」は有形無形の財産であり、郷土愛を育むきっかけにもなるのです。
最近では、祇園小学校では、地元で採れる「祇園パセリ」を使ったかき揚げや、祇園地区で栽培した大根を使った味噌汁、その名も「祇園っこ汁」がオリジナルメニューとして提供されています。給食が提供される日には、畑でパセリが育っている様子や農家の方のメッセージが放映され、子ども達は食べながら農家の方の思いや願いを知る食育を進めています。
Qそこでお尋ねします。新たな給食センターにおいても、地産地消を促進し、子ども達への食育を充実させる観点から、祇園小学校の取組みのように、より身近な産地の食材を使用した給食の提供を進めてはいかがと思いますが、広島市はどうお考えかお聞かせください。
<答弁>
学校給食で使用する青果は、原則、市場を通して一括で調達することとしておりますが、議員御指摘のとおり、一部の学校では年に数回程度、子どもたちの郷土愛を育むことを目的に、より身近な産地の食材を給食で使用し、その食材を活用した食育を展開しています。
この度、新たに整備する学校給食センターにおいても、地域メニューの日を設定し、対象地域となる安佐北区や安佐南区の食材を使用したメニューを提供するなど、これまでの各学校の取組を学校給食センターの取組としてアレンジし、継承していきたいと考えています。
さらに、こうした取組を行う際には、学校給食センターにおいて地域の農産物の成長や収穫の様子、生産者の思いを紹介する動画などを作成し、給食を提供する全ての小・中学校に発信するなど、学校における食育をより一層充実していきたいと考えています。